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座談
「……行ってきます」
瀬川亜季の声は暗く沈んでいる。正直、彼女は混乱していた。
記憶が確かならば、今日は二月十四日のはずだ。世間では俗にバレンタインデーと呼ばれる日だ。なぜなら、昨日が二月十三日だったから。
非常に明解な理由だ。
……にも関わらず……
「……どうして今日が十三日なの?」
顔が青ざめているのが自覚出来る。私は、おかしくなってしまったのだろうか?日頃からのストレスがたまった結果、記憶を失ったか、あるいは錯乱してしまったのだろうか?
何が起こっているのか?それが自分の身に起こっているのか、世界全般に起こっているのか。家族の様子からは、今日が二月十三日であることに疑問を抱く者は亜季自身だけであった。いくら家族に『今日は二月十四日だよね?』と問いただしても、『お前、大丈夫か?』といった内容のものしか私には向けられなかった。父も母も、兄も妹も、それは冗談などではなく、本当に亜季を心配しているかのようだった。
とりあえず、教科書を月曜と火曜の二通りのパターンを持って来たのは、まだ亜季がいくらかは冷静な証拠だろう。
意味もない思考の奔流が取り留めもなく流れ出る。
「……自分自身がおかしくなっているかもしれないのに、冷静も何もないわよ……」
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