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カーテン越しから、暖かな陽光が差し込む。  小鳥の囀りは、一つの朝の到来を告げている。 それに混じって、カラスのうるさい鳴き声が聞こえてくるのは都会だからだろうか。 窓の外には、大きな桜の木。つぼみをつけて、今にも開花しそうな気配だ。 「ふあぁぁぁぁっ」  そんな事を考えながら大きな欠伸をして、淳司は腕を伸ばす。  簡素な机に置いた時計に眼をゆっくりと向ける。  現在の時刻は……六時……三十……六分か。  「……珍しい」  我ながら真に珍しい。……というより、前日と全く同じ時刻に目覚めるだなんて、自分の十七年の生涯であっただろうか? カレンダーに眼を向ける。今日は二月十四日。モテナイ男にとって、バレンタインという死刑執行日。昨日は夕方からずっと雨が降っていたのに、外は太陽の光で満たされている。雨で濡れたであろうアスファルトは既に乾いたようだ。 「……まずは飯でも食うか」 真島淳司はぼそりと呟いた。「おはよう」 そう言って居間のドアを開けると、 「珍しい」 奏でられる三つのファルセット・ハーモニー。 一つは母。 一つは父。 一つは姉。 異口同音に三文字の言葉が発せられると、 「お父さん、今日は雨が降るかもしれないから傘持ってって」 「下手な天気予報よりも淳司の起床具合の方が、確率いいからな」 「本当。こんなに晴れているのに雨だなんて嫌よね〜」 言いたい放題だ。 ………… (待てよ、この展開、まるで昨日と同じじゃないか?) 「うん?そんな所に突っ立てないで、早くご飯にしたらどうだ?」 テーブルの椅子に座る父は新聞から視線をずらして眼鏡を向ける。 (……台詞まで同じじゃないのか?) 昨日の朝の会話を思い出そうとする淳司に、 「今日はどうするの?」  母が朝食のことについて尋ねてくる。 思考した淳司は昨日と全く同じ返答をしてみた。 「……納豆に目玉焼き、豆腐の味噌汁で」 「……納豆と目玉焼きはともかく、豆腐の味噌汁を今から作れと?」 淳司の回答に母は、大仰に溜息を吐き出す。 その回答を聞いた淳司の表情は言葉で言い表すことは出来ない。 「じゃあ、どうするだなんて聞かないほうがいいんじゃない?」 ソファに腰掛けながらテレビを見ている姉の余計としか言い様の無い一言。 淳司は自分を落ち着かせるように、昨日の会話を思い出しながら口を開く。

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