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そして、翔子も、 「史記先輩、今日は私もこれで」 部室を後にしようとする。戸を閉じようとしたその時、 「翔子ちゃん」 名が呼ばれる。 「告白は、早めにした方がいいよ。総司君は翔子ちゃんの想いには気付いてくれないだろうし、時間は永遠じゃないらね」 こちらを見て、史記は頬杖を突きながらにっこり微笑んでいる。 (……うぅぅ……顔が燃えそうだ……) 「告白しても後悔するかもしれないけど……告白出来ずに後悔することだけは、しないようにね」 笑みはそのままなのに、憂いが含まれたような声。 それは、彼女自身の経験からきているアドバイスなのか。 「……はい。ご忠告、ありがとうございます」 翔子は素直に礼を言って戸を閉じた。 「今年のバレンタイン、頑張ってね」 史記の軽やかな声が部室に響いた。「……ああ、くそだりい」 淳司はベッドの上で仰向けになってぼやいていた。 風呂に入った後の為、普段着ではなく、パジャマ姿だ。 今日は父、母、姉によって『議論に強制参加の刑』を執行され、結局夜のほとんどを議論に費やしてしまったので、風呂に入る時間が大幅に遅れてしまったのだ。 一日の終わりが来ると、淳司は憂鬱になる。 明日も、同じ時間が始まる。 明後日も、明々後日も、その次の日も、次の日も…… 昨日とそう大して変わりのない日常という名の暇な生活を送るのだ。 ドラマや漫画のようなスリルに満ちた、面白い日というのはそうあるものではない。 淳司にとって現実という時間に直面せざるを得ない時間が、一人きりの夜であった。 (……将来の職業だなんて、検討もつかないしな) 将来の為、お前の為なんて言われても実感が湧かない。

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